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2019.06.25

純粋なのか? 誠実なのか?  その独自の女性感が生んだ甘美な世界「クリムト展 日本とウィーン1900」

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世紀末のウィーンで強烈な存在感を放ったグスタフ・クリムト。金箔を多用しジャポニズムの影響も受けた作風は日本でも多くの人に知られる画家の一人です。官能的な題材を通じて生と死を正面から見据えていた彼の作品をまとまって鑑賞することのできる貴重な展覧会です。その展覧会へ向かう前にクリムトの生き方や作品の見所をヨーダさんに教えていただきましょう!

ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館(外観) ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館(外観)

第1回 クリムトの生まれた時代背景と家族と芸術との出会い

 東京都美術館で7月10日まで行われているクリムト展に合わせて今回は、

クリムトの人生と作品を紹介していきたいと思います。東京のあとは7月23日から10月14日まで豊田美術館に巡回します。 みんなが知っている「クリムト」といえば、美術の教科書にも必ず載っているような有名な作品がこちら「ユディットⅠ」(1901)ではないでしょうか。この絵がどのように生まれたのかを彼の人生を振り返りながら見ていきたいと思います。

作品名:ユディットⅠ 作品名:ユディットⅠ

この展覧会ですが、彼の没後100年ということで行われておりますので亡くなったのが1918年。産まれたのは1862年。日本でいうと明治維新の少し前。ウィーンで生まれています。同時代の作家というのでいうと、ゴッホが9歳お兄さんです。「叫び」で有名なムンクが1863年生まれなので、1歳年下です。お父さんは金工師。姉1人、妹3人、弟2人の7人兄弟。14歳で美術学校に入ります。翌年2つ下の弟も入ってきます。さらにその下の弟も同じ美術学校に入っていますので、かなりの芸術一家。上の弟はお兄ちゃんの作品も手伝っております。今回の展覧会では弟たちの写真や作品も展示しております。当たり前ですが全員「クリムト」ですのでお兄さんの「グスタフ」なのか弟たちなのかもチェックしてみてください。弟たちもお兄さんに遜色ないほど上手です。

 この頃のウィーンというのはロンドン、パリに次ぐ国際都市。1862年にロンドンで万国博覧会が開かれます。ここで初めて日本の美術がジャポニズムと紹介され、それがモネやゴッホに伝わってヨーロッパでジャポニズムが大流行しますが、この万博、1867年にパリで行われ、次が1873年にウィーンで開催されます。

クリムト11歳くらいの時なので、観に行っているかもしれませんね。そんなわけで、彼は学生時代を通じて様々な文化を吸収してそれを表現の中に入れていきます。ジャポニズム、ビザンティン、エジプト文化などなど彼の作品には様々な文化の要素が詰まっています。

作品名:ベートーヴェン・フリーズ(部分) 作品名:ベートーヴェン・フリーズ(部分)

 この頃のウィーンは景気が良く、劇場や学校などが次々作られます。いまウィーンに行くと、100年以上前の建築が出迎えてくれますが、この頃の建てられたものなんですね。学生時代はフェルディナンド・ラウフベルガーという建築装飾の先生に師事しますが、この頃には多くの公共建築が立てられますが、その仕事をこなしていたのがこのラウフベルガー先生。彼の下について、古典的な表現技法に磨きをかけています。その先生が亡くなってしまい、彼は弟のエルンストと友達のフランツ・マッチュという3人で「芸術家カンパニー」という会社を作ります。クリムト21歳の時です。この会社が結構手広く様々な仕事をこなしています。宮殿内部の装飾画や王家、貴族などの邸宅などなど。そして24歳で、国立ブルグ劇場の装飾を請け負い、27歳には皇帝より表彰されております。国など公共の仕事や様々なパトロンを抱えて仕事をしておりますが、この頃は伝統的なアカデミックな技法に則った物を作っています。

今回の展示では、この学生時代からの装飾などを仕事で行っていた時代のデッサンやデザイン画などが多く展示されております。このころの作品は作風が確立する前なので、名前を伏せられるとクリムトだとわからないとおもいますが、そのデッサン力などはすでに高い技術が認められます。その辺をおたのしみいただければと思います。次回は彼の女性関係と彼らしい作風の確立についてお話しして行きたいと思います。

ヨーダのはみ出しコラム

今回の展示で、一緒に会社を作ったフランツ・マッチョとクリムトが同じ少女を描いた「レース襟をつけた少女の肖像」が展示されております。二人の画家の表現の違いなどが比較できます。同じ少女を同じ角度から描いておりますが、どっちの少女の方が可愛いか?見比べてみてください。クリムトの方が少女の顔が筋肉張っていて男性的で彫刻的なのに対し、マッチョの方が、形が柔らかく滑らかで少女っぽいです。このあと女性の柔らかな表情を得意とするクリムトですが、この時はまだ男性を描くことの方が得意だったように思えます。

ヨーダ

学生時代より美術評論や映画評論を雑誌などで執筆。現在は広告代理店で、コピーライターやプランナーをやる傍らで、趣味で美術館のイヤホンガイド番組をラジオトークで制作。https://radiotalk.jp/program/19042

写真名:ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館(外観) © Belvedere, Vienna, Photo: Ouriel Morgenstzern

作品名:ユディットⅠ
作者:グスタフ・クリムト 1901年
所蔵: ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna,
Photo: Johannes Stoll

作品名:ベートーヴェン・フリーズ(部分)
作者:グスタフ・クリムト 1984年 (原寸大複製/オ リジナルは1901- 02年)
所蔵: ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna

ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館(外観) © Belvedere, Vienna,
Photo: Ouriel Morgenstzern

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