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連載

2017.09.14

人はなぜ旅をするのか No.1 「人は歩く」

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何百万年もの昔、人類が歩いていた足跡が、1978年アフリカ・タンザニアで発見されました。またそれから40年近くたった2014年にはイングランド・ヘイズバラでも初期人類のものと思われる足跡が姿を現しました。

出典:Photo by Derek Thomson on Unsplash

人類がどこで誕生したかは限定できませんが、人類は二足歩行を試して、それが快適な活動形式だと知ると、たちまち移動を開始したにちがいありません。

それから長い年月をかけてひたすら歩き続け、ヨーロッパへ、アジアへ、北アメリカへ、さらに南アメリカへと移動し最南端のフエゴ島にまで到達しました。

 

人類には、せっかく二足歩行を手に入れたのだから、歩き続けるのだという命令を下す遺伝子が、二足歩行の開始とともに、目覚めたのでしょうか。それとも人類に備わったcuriositas(好奇心)が人間を動かしているのでしょうか。

歴史以前の時代に、人類はおどろくほどの距離を移動しましたが、これを旅と呼ぶことはできなでしょう。旅というものは、わが家から出て、目的地に到着したら、ふたたびわが家に帰ってくるということで完成するからです。一方通行ではなくて、回帰する、あるいは帰還する意思をもって出発することが要件なのです。

旅の始まりを突き止めることはできません。考古学的な研究が進めばしだいに明らかになってくることもあるでしょう。けれども人々が旅で何を手に入れ、旅が人をどう変えたのかを知る断片はありますので、ヨーロッパの歴史を舞台にそれを一緒に見ていきましょう。

筆者:岩村行雄/東大名誉教授 

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